ブランドのコンバージョン率や売り上げの向上には、ブランド認知度の拡大が欠かせません。しかし、スモールビジネスや個人事業主にとって、広告費は負担が大きくなりがちです。広告費をかけずに認知度を高めるためには、SNSや無料のプレスリリースサービスなどを活用して積極的にPR活動に取り組み、フリーパブリシティを獲得することが重要です。
本記事では、無料で実践できる企業PRのアイデア13個と成功事例を紹介します。
フリーパブリシティとは

フリーパブリシティ(無料のパブリシティ)とは、広告費をかけずに報道として取り上げてもらうことで得られるメディア露出、またはそれに関連する活動のことです。自社の商品やサービス、取り組みに関する情報をメディアに提供し、メディアから消費者に向けて発信されるのが特徴です。お金を払って掲載する広告とは異なり、第三者による発信が中心となるため、信頼性が高くなります。
フリーパブリシティを生み出すためには、ニュース性のある取り組みや話題をつくり、それを適切な形で発信することが重要です。プレスリリースの配信や、インフルエンサーとの連携による情報拡散など、無料で活用できるPR方法は数多くあるため、うまく活用することで、フリーパブリシティの獲得につなげられます。
無料でできるPRアイデア13選

- レビューや口コミを集めてPRに活用する
- インフルエンサーに商品を提供する
- 他の企業と提携する
- 他メディアにゲスト記事を寄稿する
- メールニュースレターを配信する
- 賞やコンペティションに参加する
- プレゼント企画・キャンペーンを実施する
- ポッドキャスト出演やイベント登壇を行う
- 参加型コンテンツを活用する
- クラウドファンディングで話題をつくる
- コミュニティを構築する
- メディアや記者に企画を持ち込む
- プレスリリースを配信する
1. レビューや口コミを集めてPRに活用する
レビューや口コミは、商品やサービスの価値を第三者の視点で伝えられる、信頼性の高いPR素材です。実際の利用者による評価や感想は、企業側の説明よりも説得力があり、検討段階にあるユーザーの不安を解消する役割を果たします。
レビューを集める際は、購入後や利用後など、体験が記憶に新しいタイミングで依頼することが重要です。回答の手間を減らすため、入力項目を最小限にするなど、顧客の負担にならない導線を整えましょう。
集まったレビューは自社サイトやLP(ランディングページ)、営業資料などに掲載することで、消費者に信頼感を与えられます。また、良い点だけでなく改善点も含めて紹介することで、透明性のあるPRにつながります。
2. インフルエンサーに商品を提供する
インフルエンサーに商品やサービスを提供し、実際の体験を発信してもらう方法は、広告費をかけずに認知拡大を狙えるPR施策です。フォロワーとの信頼関係が築かれている発信者の言葉は、企業からの情報よりも自然に受け取られやすく、興味や関心を引き出しやすい特徴があります。
重要なのは、フォロワー数の多さだけで判断せず、発信内容や価値観、フォロワー層が自社と合っているかを見極めることです。専門性や親和性の高い発信者のほうが、結果として質の高い反応につながる場合もあります。また、投稿内容を細かく指定しすぎず、率直な感想を尊重する姿勢を示すことで、信頼性のあるPRとして受け取られやすくなります。
3. 他の企業と提携する
他企業との提携は、互いの顧客基盤を共有し、これまでリーチできなかった顧客層へアプローチできるPR手法です。自社とターゲット層が近く、かつ競合しない企業と協力することで、互いの強みを活かしながら認知を広げられる点が特徴です。
共同キャンペーンや共同開発、サービスの相互紹介など、取り組み方は多岐にわたります。提携先を選ぶ際は、ブランドイメージや価値観が一致しているかを事前に確認することが重要です。短期的な集客効果だけを目的にせず、継続的に協力できる関係を築くことで、信頼性の高いPR施策として長く活用できます。
4. 他メディアにゲスト記事を寄稿する
他メディアにゲスト記事を寄稿することは、自社の専門性や実績を伝え認知を広げられる無料のPR手法です。自社ブログとは異なり、すでに一定の読者を持つ外部メディアで露出を増やすことができ、新しい層への接触が期待できます。
寄稿内容は、商品やサービスの直接的な宣伝ではなく、読者にとって役立つ情報やノウハウを中心に構成することが重要です。特に、事業運営の中で得た独自のデータや体験談を活用して、新たな視点で情報を提供することで、自社の専門性を自然な形で示すことができ、信頼獲得につながります。寄稿先は業界やテーマとの親和性を重視し、単発で終わらせず継続的な関係構築を意識すると、より高い効果が期待できます。
5. メールニュースレターを配信する
メールニュースレターは、すでに接点のある顧客や見込み客に対して、継続的に情報を届けられる無料PR施策です。SNSと比べて投稿が流れにくく、伝えたい内容を安定して届けやすい点が大きな特徴です。
商品やサービスの告知だけでなく、自社の取り組みや実績、裏側のストーリーなどを紹介することで、認知向上と親近感の醸成を同時に図れます。配信頻度は多すぎると負担になりやすいため、無理なく続けられるペースを意識することが重要です。
6. 賞やコンペティションに参加する
賞やコンペティションへの参加は、第三者からの評価を通じて信頼性を高められる、優れたPR施策です。受賞や入賞といった実績は、企業やサービスの強みを客観的に示す材料となり、初めて知る人にも安心感を与えます。また、こうした実績は、時間が経っても価値が薄れにくい点も特徴です。
結果そのものだけでなく、「応募した」「選考対象になった」といった事実も、取り組み姿勢や挑戦の証として活用できる場合があります。応募の際は、自社の特徴や独自性を整理し、審査基準に沿った形で情報をまとめることが重要です。受賞後は自社サイトや営業資料、プロフィール欄などに明記することで、継続的なPR効果が期待できます。
7. プレゼント企画・キャンペーンを実施する
プレゼント企画やキャンペーンは、短期間で注目を集めやすいPR施策です。参加条件をシンプルに設定することで、気軽な参加を促し、認知拡大につなげやすくなります。
重要なのは、拡散数だけを目的にするのではなく、自社の商品やサービスに関心の高い層が集まる設計にすることです。たとえば、自社商品のプレゼントやクーポン配布など、興味がある人のみが魅力を感じる内容にすることで、PRの質を高められます。
また、実施期間や目的を明確にし、キャンペーン終了後も情報提供や接点を継続できる導線を整えることが大切です。応募者をメールマガジンや公式LINEの登録へ誘導できれば、継続的な情報提供が可能になります。一過性の施策で終わらせず、次のPRや関係構築につなげる視点を持つことで、施策の効果を最大化できます。
8. ポッドキャスト出演やイベント登壇を行う
ポッドキャストへのゲスト出演やイベントでの登壇は、専門性や人柄を直接伝えられるPR施策です。文章や広告と比べて、声や対話を通じて情報を届けられるため、聞き手との距離を縮めやすい点が特徴です。
自社の商品やサービスを前面に押し出すのではなく、これまでの経験談や業界知識、業界の課題に対する考え方を共有することで、自然な形で認知や信頼を獲得できます。出演や登壇の機会は、主催者への応募や企画提案など、自ら行動することで広がります。内容の一部を自社サイトやプロフィールで紹介すれば、実績として蓄積でき、継続的なPR素材としても活用可能です。
9. 参加型コンテンツを活用する
参加型コンテンツは、ユーザー自身が関与することで自然なPR効果を生み出す手法です。クイズや診断、投票、アンケートなどは、情報を一方的に伝えるのではなく、体験として印象に残りやすい点が特徴です。
重要なのは、単なる娯楽で終わらせず、参加する過程や結果の中に、自社の強みや価値観が自然に表れる設計にすることです。たとえば、商品理解を目的とした診断コンテンツであれば、「あなたに合うタイプは?」という結果を通じて、素材選びや開発思想、他社との違いを伝えることで、消費者は楽しみながらブランドへの理解を深められます。
また、アンケートや投票企画では、集まった回答をもとに、今後の商品・サービス改善へどう活かすのかを発信することで、「意見が反映されている」という実感や共感を生み出せます。
こうした参加型コンテンツを継続的に提供することで、認知拡大にとどまらず、ユーザーとの双方向の関係を築きやすくなり、長期的なファンづくりにも効果を発揮します。
10. クラウドファンディングで話題をつくる
クラウドファンディングは、資金調達にとどまらず、企画そのものをPRとして活用できます。新商品や新サービスの誕生背景、開発に込めた想い、解決したい課題などを発信することで、共感を軸とした話題づくりが可能になります。
支援者は単なる購入者ではなく、プロジェクトを応援する当事者となるため、自然な口コミや情報拡散も期待できます。重要なのは、目標金額だけを強調するのではなく、「なぜ実施するのか」「どんな価値を届けたいのか」を明確に伝えることです。進捗報告や結果共有を丁寧に行えば、終了後も継続的なPRにつなげられます。
11. コミュニティを構築する
コミュニティの構築は、時間をかけて運営することで信頼と共感を積み重ねられるPR施策です。商品やサービスを一方的に発信するのではなく、参加者同士の交流が生まれる環境を整えることが重要です。運営側は主役になりすぎず、価値ある情報提供や対話のきっかけづくりに徹することで、信頼される存在として認知されます。コミュニティが活性化すれば、メンバーによる自発的な発信や紹介が生まれ、広告に頼らない長期的なPR効果につながります。
12. メディアや記者に企画を持ち込む
メディアや記者に企画を持ち込むことは、広告費をかけずに露出を獲得できる代表的なPR手法です。第三者の視点から情報が発信されるため、信頼獲得につながりやすいのが特徴です。重要なのは、自社の宣伝を目的にするのではなく、メディアやその読者にとって価値のある情報を提案することです。
業界動向や社会的なテーマ、独自のデータや事例など、取材する側が「記事にしたい」と感じる切り口を用意しましょう。記者の関心分野や過去の記事を事前に把握し、それに沿った形でアプローチすることで、採用される可能性が高まります。継続的に有益な情報提供を行えば信頼関係が築かれ、次回以降の取材依頼や継続的な露出につながることもあります。
13. プレスリリースを配信する
プレスリリースは、企業やサービスの新しい動きを公式情報として発信できる、PRの代表的な手法です。新商品・新サービスの開始、自社の取り組み、調査データなど、社会にとって有益で、ニュース価値の高い情報を配信できれば、メディアに取り上げられやすくなります。メディア露出が増えることで、消費者や取引先など、関係各所の目に留まりやすくなるほか、こうした第三者による情報配信は、自社への信頼感を高める効果があります。
プレスリリースを配信する際は、次のようなプレスリリース配信サービスを利用すると便利です。
- PR TIMES:国内シェア1位の配信サービス。スタートアップや自治体など、一定の条件を満たしている場合は無料で利用できる
- valuepress:国内大手の配信サービス。フリーのお試しプランが用意されており、valuepressとメディア20媒体にプレスリリースが配信できる
- PR-FREE:会員登録なしで利用できる完全無料の配信サービス。専用の投稿フォームから内容を送信し、審査に通るとPR-FREEや提携メディアで公開される
- ツナググ:会員登録なしで利用できる配信サービス。月5本の配信まで無料で利用できるほか、有料オプションを利用するとツナググのSNSアカウントから自動配信できる
配信後は自社サイトやSNSで二次活用することで露出の幅が広がります。継続的に発信を行うことで、認知向上と信頼構築につながります。併せて、企業概要やロゴ、画像素材、過去の実績などをまとめたプレスキットを用意しておくと、メディア側が情報を確認・掲載しやすくなり、取材や露出につながる可能性が高まります。
無料のPR成功事例
ユニクロ
ユニクロは、コロナ禍で店舗での接客が難しくなった状況を受け、オンライン上で顧客との新たな接点を生み出すために「UNIQLO LIVE STATION」を開始しました。
自社スタッフが出演し、商品の特徴やコーディネートをリアルタイムで紹介するほか、視聴者はコメント機能を通じて質問でき、その場で回答が得られる双方向型のライブ配信となっています。広告費をほとんどかけず、自社チャネルやSNSで情報を発信した結果、年間視聴者数は1,000万人を超えました。
この取り組みにより、商品理解の促進だけでなく購買意欲の向上にもつながり、「顧客体験を重視するブランド」としての信頼を強化することに成功しました。費用を抑えながらブランド価値を高めたPRの成功事例です。
パタゴニア
アウトドアブランドのパタゴニアは、社会的課題に積極的に取り組む企業として知られています。その象徴的な取り組みが、参議院選挙の投票日に全直営店を休業し、従業員が投票に行けるようにした「選挙投票のための店舗休業」です。
日本では投票率の低さが課題とされる中で、この決断は「企業が民主主義に貢献する姿勢」として大きな注目を集めました。広告費を一切使わずに、SNSやメディア報道を通じて自然発生的に話題となり、ブランドの社会的信頼性を高める結果となりました。
この施策は、商品宣伝ではなく行動で理念を体現することで共感を呼び、パタゴニアが持つ「環境・社会正義を重んじるブランドイメージ」をさらに強化した、低コストながら非常に効果的なPR成功事例です。
ベネッセコーポレーション
ベネッセコーポレーションは、コロナ禍で外出や登園が制限された子どもたちと家庭を支援するために、「オンライン幼稚園」を開設しました。YouTubeを活用し、幼児向けの体操や工作、歌の時間などを無料で配信しました。
自宅にいながら安心して園生活を体験できる内容が多くの家庭で支持されました。広告宣伝費をほとんどかけず、自社リソースと教育ノウハウを活用したことで、自然とSNSやメディアで話題となり、再生回数は数百万回を突破しました。
この取り組みは単なる教育サービスの提供にとどまらず、社会的使命を果たす企業としての信頼向上にもつながりました。経済的負担をかけずに社会貢献とブランド価値の向上を両立させたPR成功事例です。
まとめ
無料でできる企業のPR活動は、広告費をかけずに企業やサービスの認知を広げられる有効な手段です。口コミやレビュー、メディア露出など、第三者を通じた発信は信頼性が高く、長期的なブランド価値の向上にもつながります。
本記事で紹介したアイデアは、すぐに始められるものから継続的に取り組むことで効果を発揮するものまでさまざまです。重要なのは、自社の目的や状況に合った施策を選び、無理のない形で続けることです。
複数の手法を組み合わせながら、地道にPR活動を積み重ねていくことで、Web広告に頼らない集客や信頼構築を実現できるでしょう。
よくある質問
なぜPRが必要なのか?
PRは、情報発信を通じてブランドや商品に対する理解を促し、消費者や社会との信頼関係を築くために欠かせません。信頼関係が構築できれば、ブランドの価値は高まり、結果として売り上げの向上や事業の成長につながります。重要なのは、価値ある情報を継続的に発信することです。こうした取り組みを続けることで、メディアや口コミなど第三者から言及される機会が増え、ブランドに対する信頼性が高まります。
無料PRはどんな企業に向いている?
予算に限りがある中小企業やスタートアップ、個人事業主に向いています。工夫や継続で成果を出しやすい点が特徴です。
無料PRを始めるときの注意点は?
短期的な成果を求めすぎないことが大切です。宣伝色を強めすぎると逆効果になるため、相手にとって価値のある情報発信を意識しましょう。
無料PRではどんなKPIを設定すればいい?
掲載メディア数、SNSでの言及数、指名検索数、Webサイト流入数などが代表的なKPIです。目的に応じて指標を絞ることがポイントです。
文:Takumi Kitajima





