1888年、アメリカの発明家トーマス・アダムスがニューヨーク市に初めて自動販売機を設置し、自社製品のトゥッティフルッティ・チューインガムを販売しました。やがて20世紀には技術が進歩し、飲み物やスナックなどさまざまな商品を自動販売機で販売できるようになりました。
現在、自動販売機市場は飲み物やスナックといった定番商品を超えて大きく広がり、空港、オフィスビル、店舗、公園、図書館、ジムなど、さまざまな場所に多様な商品を扱う機械が設置されています。たとえば、ベネフィット コスメティクスは空港やショッピングセンターの自動販売機で美容製品を販売しています。
自動販売機市場が今もなお成長を続ける中、起業家にとっては、自動販売機を活用して商品を販売し、新たな顧客層にアプローチするチャンスが広がっています。
自動販売機ビジネスの始め方
自動販売機ビジネスを始めるためのステップは次のとおりです。
1. 市場調査を行う
市場調査とは、消費者の行動や市場の動向に関する情報を収集・分析するプロセスです。ビジネスを始める前に、展開予定地域の競合状況を把握し、自動販売機業界について調べましょう。
あなたの地域では、自動販売機市場はどのような状況でしょうか? 人通りの多いエリアでは、どのような種類の自動販売機が稼働しているでしょうか? 現在は設置されていないものの、将来的に需要が見込める場所はあるでしょうか? こうした問いに答えることで、地域内の市場需要を把握できます。競合分析を行い、市場における隙間(ギャップ)を見つけましょう。
2. 商品を選ぶ
市場調査の結果をもとに、ターゲットとする顧客層のニーズを満たしたり、課題を解決したりする商品アイデアをブレインストーミングしてみましょう。
たとえば、地元の空港やバス停では、旅行者向けに携帯充電器やヘッドフォンなどのテクノロジーアクセサリーを販売する自動販売機が求められているかもしれません。あるいは、コインランドリーでは、乾燥シートや柔軟剤を取り扱う自動販売機のニーズがあることに気づくかもしれません。
3. 事業を立ち上げる
まず、会社の概要やターゲットとする顧客層、そしてどのように価値を提供するかを明確にした事業計画書を作成しましょう。あわせて、事業名や事業形態(例:合同会社、株式会社など)も決定します。自動販売機ビジネスを運営するには、まず法人を設立し、法人番号の取得後に法人名義の銀行口座を開設しましょう。あわせて、販売する商品に応じて必要な許認可を関係機関から取得してください。
4. 自動販売機を購入する
取り扱う商品が決まったら、それに適した自動販売機のタイプを検討します。機械の価格は一般的に20万円〜100万円程度です。
飲み物やスナック向けの従来タイプの自動販売機に加え、タッチスクリーンやモバイル決済などの最新機能を備えたモデルもあります。中古機をオンラインマーケットプレイスで探したり、卸売業者から購入したり、メーカーから新品を導入したりと、予算や目的に応じた選択肢があります。
5. 設置場所を見つける
あなたが扱う商品が顧客の関心を引きそうなエリアをリストアップしましょう。そして、自動販売機の設置を検討している地元企業や法人、自治体などにアプローチします。公園やプールといった公共スペース、オフィスビル、マンション、ショッピングセンターなど、さまざまな商業施設も調査対象に含めましょう。
設置を許可してくれる場所が見つかったら、物件の所有者と条件面を交渉しましょう。支払う歩合は場所によって異なります。人通りの多いエリアでは、別途賃料が発生するケースもあります。まずは1台だけ設置し、小規模からスタートして様子を見るのが賢明です。
6. 在庫を補充する
自動販売機には常に十分な商品が補充されているよう確認しましょう。遠隔在庫管理機能を備えた自動販売機を導入すれば、在庫状況をリモートで確認できます。この機能がない機種の場合は、売り切れによる機会損失を防ぐため、定期的に現地で在庫をチェックするスケジュールを組んでおきましょう。
また、収益性を維持するためには、故障やメンテナンスの必要な箇所がないかも継続的に確認することが重要です。
7. 戦略を調整する
自動販売機に遠隔在庫管理機能が搭載されている場合は、リアルタイムで売上データを確認でき、機械ごとのパフォーマンスをより深く把握することができます。
収益性の高い自動販売機ビジネスを運営するには、顧客の購買傾向に応じて柔軟に商品ラインナップを見直すことが重要です。たとえば、ビジネスパークに設置した自動販売機で、インクカートリッジよりもペンの方がよく売れていると分かった場合は、在庫をその傾向に合わせて調整するといった工夫が求められます。
8. 事業を拡大する
自動販売機の稼働状況を継続的に確認・管理しながら、利益率をしっかりと把握しましょう。在庫やメンテナンスにかかるコストを上回るように価格を設定しつつ、競争力を保ち、顧客にとっても納得感のある価格を目指すことが大切です。無料の利益率計算ツールを使用して商品の価格設定を決定してみてください。
自動販売機ビジネスが順調に収益を上げられるようになったら、複数の場所への展開を視野に入れ、より多くの機械を導入していくことが可能です。事業拡大のための戦略を練りながら、数台の自動販売機から徐々に規模を広げ、大きなビジネスへと成長させましょう。
自動販売機の費用は?
一般的なタイプの自動販売機であれば、価格は数十万円程度からスタートします。タッチスクリーンや遠隔在庫管理システムなどの高度な機能を備えたスマート自動販売機では、100万円を超える場合もあります。
本体価格に加えて、商品在庫の準備にも予算が必要です。スナックやおもちゃといった比較的安価な商品であれば数万円から始められますが、スマートフォンアクセサリーや電子機器などの高価格帯商品を扱う場合は、初期在庫費用として数十万円程度かかることもあります。
また、ビジネスを運営する地域によっては、必要な許可を取得するための費用が発生するほか、導入する機種によって異なる長期的なメンテナンス費用も考慮に入れておく必要があります。
自動販売機ビジネスのメリット・デメリット
自動販売機にはさまざまなメリットがありますが、始める前にデメリットを理解し、あらかじめ対策を立てておくことが大切です。
メリット
自動販売機ビジネスは、比較的少ない初期費用と柔軟な時間管理によって、自分のライフスタイルに合わせて始められるのが魅力です。以下は、自動販売機ビジネスを始めることで得られる主なメリットの概要です。
- 初期費用と経費が少ない。自動販売機ビジネスは、比較的低コストで始めることができ、大きな初期投資がなくても事業の立ち上げが可能です。
- 時間の自由度が高い。自分のペースで在庫補充やメンテナンスを行えるため、忙しい方や副業を検討している人にも適しています。
- 拡大しやすい。まずは1台からスタートし、利益状況を見ながら徐々に台数を増やすことができるため、リスクを抑えて事業を拡大していくことが可能です。
デメリット
自動販売機ビジネスには多くの利点がありますが、課題もいくつかあります。あらかじめそのリスクを理解し、適切な対策を講じることが成功への鍵となります。以下は、検討すべき主なデメリットです。
- 時間的なコミットが必要。事業の立ち上げから自動販売機の購入・維持、商品の仕入れと補充、設置先の物件所有者とのやり取りまで、一定の時間と労力が継続的に求められます。
- 市場の競争が激しい。人気エリアや人通りの多い場所では、すでに大手企業の自動販売機が設置されていることも多く、新規参入者にとっては競争が激しい場合があります。
- セキュリティ上のリスクがある。自動販売機は屋外や公共の場に設置されることが多いため、盗難や破壊行為といったリスクにさらされる可能性があります。適切な設置場所の選定と、防犯対策が重要です。
自動販売機ビジネスの始め方に関するよくある質問
自動販売機はどのくらい収益性がありますか?
自動販売機ビジネスは、設置場所や取り扱う商品によって収益が大きく異なりますが、海外の事例では、1台あたり年に約5,000〜6,000ドル(約70〜90万円)の利益を上げているという調査結果があります。
自動販売機の設置場所はどうやって見つけますか?
オフィスビル、大学、ショッピングセンター、ホテル、ジムなど、人通りの多いエリアを中心に、地元の企業や施設をリサーチしましょう。
自動販売機では何を販売できますか?
自動販売機では、テクノロジーアクセサリー(充電器やイヤホンなど)、オフィス用品、化粧品、アパレル、おもちゃ、スナック、飲料など、さまざまな商品を扱うことができます。





